物理的に考えると・・

全てのスポーツ動作は物理的に考えることができる。

専門的にはバイオメカニクス研究の分野になる。

バイオメカニクスの優れている点は、主観が一切入らない点である。

選手・指導者が描いているイメージと実際の動きが合っているとは限らない。

今回はカヌーのパドリングをもとに考えることにする。

逆体重とは何か・・

カヌーのパドリング動作において、“逆体重” というワードがある。

これは、パドルを水面に入れるときに重心がパドルの挿入側と反対側に移動してしまうことを指す。

一般的に、この動きは良くないとされているのだが、

選手に逆体重になっているから直せと言って、修正できるものでもない。

理想的な状態としては・・

重心をパドル側に傾けると同時に、体重を利用してパドルに力を伝えることが必要である。

大切な点は・・

悪い部分を修正するためには、理想的な状態を同時に示す必要がある。

何が問題なのか・・

例えば、逆体重を直したいと考えている場合・・

パドル側に体重を乗せるだけでは問題は解決しない。

パドル側に体重を乗せるためには、体重を乗せると同時にパドルをしっかりと水面に押さえつけることで傾けた重心を安定させることが必要になる。

つまり、

体重を乗せるという動作を学習するためには、パドルに外側・下側の力を加えることではじめてバランスをとることができる。

引くのではなく、水を押さえる

水中に入れたパドルは引くものだと考えるのが一般的だと思う。

しかし、物理的に考えた場合、引くという力の加え方はこの競技においては間違っている。

実際に、英国のコーチのハンドブックには以下のような記述がある。

水を引くと、パドルが水中で動いてしまう。実際には、水中でパドルは固定された状態で、パドルを支点にして艇が前方に移動するの正しいイメージとされる。

https://www.instagram.com/p/CJdCIkNHzuD/

なぜ、逆体重になるのか・・

逆体重になるには原因がある・・

つまり、水を前方からしっかりと押さえこむことができず、

パドルを引くことで水を持ち上げながら進むために起こる現象である。

物理学的に、

逆体重では水を引っ掛けることによってバランスを保っている。

この漕ぎ方では、水がよく引っかかるので

非常に頑張っている感じが出るし、水を掴んでいる感触はあるが

艇の進みは悪い。

なぜなら、力の方向自体は後方だけでなく、上方にも向かっているため、

艇の上下動を誘発することで水の抵抗を増やすためである。

さらに、水を持ち上げる動きはパドルを引く動きであり、腕に過剰な負担をかけることになる。実際には、押し手が下がり、腕を引きすぎるなどの不適切な動作として観察される。

これらは・・

肩を痛める典型的な動きである。

前方から水を押さえることが障害予防にもパフォーマンスにも重要な要素となる

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