動きの組み合わせ?

ヒトの動きは、使える関節の組み合わせによって成り立っているわけですが、

パフォーマンスを上げるときや障害を予防するときに、

関節の特徴を理解しておくと応用することができます。

ボールに綺麗な縦回転をかけるには?

関節の組み合わせについて、実例を挙げて説明します。

ボールに綺麗な縦回転をかけようとすれば、

ボールのリリースの瞬間にボールが垂直に指に引っかかっておく必要があります。

つまり、指を垂直に立てなければいけません。

ボールを垂直に立てると一言で言っても、

指までには、股関節→体幹→肩関節→肘関節→手関節→手指と

単純に考えても5つの関節があります(厳密にはもっとあるが・・)。

どの関節を垂直に向けるかは、無意識に処理されており、かなり個人差があります。

投球動作で肩を痛めた場合には、この組み合わせについて考えればいいわけです。

つまり、肩関節を過剰に垂直に上げようとした場合に肩を痛める可能性が考えられるわけです。

そのため、体幹の傾き(側屈)や股関節(骨盤)を傾けることによって、肩関節の垂直への角度を調整することが、疼痛を軽減させる手段になるのです。

もちろん、手首の角度を変えたり、肘の曲げ具合を変えることによっても、肩の角度を変化することができます。

動作における関節の組み合わせが理解できれば、選手の動きを理解できる幅が広がります。

どうやったら球が速く投げられるのか?

同じように、ある現象を改善しようとするときに、根本的な解決策を幾つ持ち合わせているかによって、トレーニングや治療の引き出しが変わってきます。

物理的に考えると・・

力や速度をもとに考えると、以下のような方法があります。

基本的には、腕を速く動かして、強い力を生み出すためには何が必要かということです。

球を速く投げる方法

①レバーアームを長くする 例:身長、手足が伸びる

②回転を速くする 例:筋力を強化して、速く動かせるようにする

③可動域を広げる 例:肩関節周囲の柔軟性を獲得する

④並進運動を加える 例:ステップを大きく、速くする

⑤他関節の慣性を利用する 例:体幹の回旋を速くする

方法は他にもありますが、“物理的に考える”と・・という話です。

よく起こる間違い

先程の原理・原則から考えて、よく起こる間違いがあります。

筋力を強化すれば、球が速くなる

この言い分は間違っています。

正確には・・

筋力を強化して、関節を速く動かせることができれば、球が速く投げれる 

ということです。

他にも・・

また、可動域が広がれば、球が速くなる

というのも間違っています。

可動域が広がって、加速に使えれば、球が速く投げれる

ということです。

ウエイトトレーニングをして、球速が落ちたり、バッティングのヘッドスピードが落ちることも往々にして起こるのです。

目的と手段を明確にして取り組む必要があります。

関節運動の原則

同じように、関節の運動にも原則があります。

ボール投げを例に示します。

例えば、手のひらサイズのボールを近くのゴミ箱に投げる時と大きくて重いメディスンボールを投げるときの投げ方の違いを考えてみてください。

小さくて軽いボールは、肘だけを使って投げた方が素早く正確に投げられます。

一方で重たくて大きいボールを遠くに飛ばそうと思ったら、体幹を大きく反らせて全身を使って投げなくてはいけません。

つまり、課題に応じて無意識に身体を調整する仕組みが身体に備わっているということです。

そのため、与える課題によって身体の使い方が変化することに注意しなければいけません。

動きが速くなるほど、上肢だけの動作になりやすい反面、上肢だけでは力の発揮が十分には行えないということです。

原理をカヌーに応用すると・・

この原理・原則は、いろいろな競技に応用することができます。

カヌー・スプリントを例に考えてみます。

カヌーの上級者は、体幹と骨盤の回旋を使ってパドリング動作をすることができます。

一方で初心者ほど、骨盤は動かず、体幹から上を動かし、速くパドルを動かそうとすると肩関節の動きが中心になって腕漕ぎになってしまうのです。

身体の動かし方を、考えるときには、

与える課題を調節することが大切です。身体を動かすスピードや負荷量、使用する用具の重さや大きさなどによって、動きが変わることを理解しておきましょう。

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