トレーニング負荷を把握する
障害予防の方法は、ストレッチや神経筋協調トレーニング(neuromuscular training) などがありますが、医療関係者だけでなく、指導者と選手が共に取り組める方法が理想的です。
それが、トレーニング負荷を知ることです。
・内部トレーニング負荷=生理的、知覚的反応(心拍数、疲労度)
・外部トレーニング負荷=身体的な仕事(距離、重さ、回数)
チームで練習を行っていると同じ外部トレーニング負荷でも、選手によって内部トレーニング負荷が変わってきます。
障害予防にトレーニング負荷を応用する
今回は、トレーニングインパルス(TRIMP)という方法を元にトレーニング負荷について考えてみたいと思います。
TRIMP = トレーニング強度 × トレーニング時間
心拍数をもとにした強度とその時間をかけることによって、トレーニングの負荷を定量化しようとするものです。
継続的にTRIMPをつけることによって、全体的なトレーニングの負荷を把握することができます。
トレーニングを客観的に把握しておくことによって、自分の練習内容や体調をフィードバックすることが可能です。
実際には、体重や起床時心拍数、主観的疲労度を加えて状態を記録しておくことが望ましいです。
TRIMPを把握するには心拍数を把握する必要があるのですが、最近ではハートレートモニターを使用して、スマートフォンのアプリで管理することができます。
実際には、下の図のように心拍数によってトレーニング強度をZoneとして表示する機能が備わっているものもあります。
指導者はTRIMPをつけることによって、今行っているトレーニングがどの程度の強度の練習かを把握できます。強度を調整した上で、トレーニングメニューを組むことが理想的です。
RPE=自覚的運動強度
TRIMPは心拍数の管理が必要ですが、もう一つ簡易的に評価できる指標があります。それが、RPE:自覚的運動強度というものです。
トレーニング強度は心拍数をもとにした客観的なものと、選手自身がどの程度きつい練習だったかを測る主観的なものがあり、RPEは後者になります。
実際には、RPEは主観的なトレーニングのきつさによって、10段階の評価で示すものです。
主観的なトレーニング負荷=RPE × トレーニング時間
心拍数で管理する方法と、主観的なトレーニングの疲労度を図る方法を知ることによって、指導者が予測するトレーニング負荷量と実際の選手がかんじているトレーニング負荷量の差を見ることが可能です。
この主観的疲労度は一般的には、客観的なTRIMPの数値と相関しますが、主観的なトレーニング負荷が大きくなっている時は要注意です。
トレーニング負荷を経年的に測定していると、どの時期にどの程度の負荷量が障害を発生させるのか予測することが可能になります。
実際に、このTRIMPを用いた研究がいくつか行われていますので、紹介していきたいと思います。
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