投球肩障害の動作分析(加速期〜フォロースルー期)

フォロースルー期の問題

投球時の肩関節の問題について、前回はCocking期に起こりやすい症状を解説しました。今回は加速期〜フォロースルーと呼ばれる腕を振り切る段階の問題について解説します。

加速期で起こるのは、急激な肩の内旋

Cocking期で最もみられるのが、肩関節を過剰に外旋方向に動かすことによって生じる問題でしたが、加速期からフォロースルーにかけて生じる問題は肩関節が外旋から内旋方向に動くことによって生じる問題です。

Cockin期での肩関節の動き
腕が加速している状態 肩関節の内旋の動きが強調される

肩関節が外旋から内旋の方向に急激に動くと、肩関節の周囲の組織にストレスがかかります。

見られやすい症状

腱板の問題: 腱板損傷・腱板炎

上腕二頭筋の問題: 上腕二頭筋腱炎・SLAP損傷

特に、回旋の動きの中心となる肩のインナーマッスル(=腱板:棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋)は肩の安定のための活動が求められます。

棘上筋や棘下筋は、肩甲骨と上腕骨を結びつけ肩関節の安定を図っていますが、内外旋の動きが繰り返されると筋肉自体が捻れたり、肩甲骨の肩峰という部分に衝突しやすくなります。

また、腱板の捻れだけでなく、上腕二頭筋の腱も捻れます。(上腕二頭筋腱炎)

上腕二頭筋は肩関節の中の方まで走行しており、腱が強い牽引ストレスをかけると関節の中の軟骨の一部を剥いでしまいます。(SLAP損傷)

原因の一つは 後方の関節包の硬さ

筋肉が擦れたり、骨に衝突する原因の一つが

後方関節包の硬さです。

肩関節の安定を作っているものの一つに、関節を包む関節包という組織があるのですが、繰り返される内旋のストレスによって関節包(特に後方)が硬くなります。

後方の関節包が硬くなると、腕を振り下ろした際に上腕骨頭が上方へ移動しやすくなります。骨頭が上方へ移動することによって、骨頭と肩甲骨の骨同士が衝突しやすくなります。

この衝突を インピンジメント と呼びますが、肩の投球障害ではよくみられる病態です。

病態についてわかってくると、肩の中がどのように動いているのか推察できるようになります。

Cocking期での過剰な外旋とFollow through期での内旋制限は注意が必要です。

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