投球動作と障害の総論 -simple guide-

投球動作の流れ

ワインドアップ期(Wind-up)

片脚を挙上させて、支持脚でバランスを取る最初の段階
上肢への負担はほとんどないが、下肢の支持性とバランスが必要である。

早期コッキング期(Early Cocking)

片脚挙上位でバランスを保っている状態から、挙上した側の足が地面に着地するまでの段階

肩関節は外転位、さらに水平内転位の運動が起こる。
起こりやすい障害

・肩関節の前方の痛み(上腕二頭筋長頭腱炎)

・肩関節の後方の痛み(腱板炎、腱板損傷)

後期コッキング期(Late Cocking)

地面に足が着地してから、肩関節が最大外旋位に到達するまでの段階

肩関節の外旋・水平内転に伴い肩甲骨は内転位に保持される。肩甲骨の動きによって、上腕骨と共同して安定した肩関節の基盤を形成する。
起こりやすい障害

・肩関節の前方の痛み(SLAP損傷、上腕二頭筋長頭腱炎)

・肩関節の後方の痛み(腱板炎、腱板損傷、インピンジメント)

・肩全体の痛み(リトルリーグ肩=上腕骨骨端線離開)

加速期 (Acceleration)

肩関節最大外旋位から、ボールが離れる直前までの段階。

肩関節は外転位の状態から水平内転と内旋する。 また、肩関節の水平内転に伴い、肩甲骨は外転が生じる。体幹は反対側へ回旋する。
起こりやすい障害

・肩の側方の痛み(インピンジメント症候群、腱板炎、腱板損傷)

・肩関節の前方の痛み(SLAP損傷、上腕二頭筋長頭腱炎)

・肘関節の内側の痛み(肘関節の内側側副靭帯損傷)

・肘関節の外側の痛み(上腕骨離断性骨軟骨炎)

減速期 (Deceleration)

ボールが手から離れてから、肩関節内旋が最大可動域に到達するまでの段階。

肩関節の内旋の増加とともに、水平内転、肘関節の伸展動作が行われる。
 
起こりやすい障害

・肩関節の痛み(インピンジメント症候群、腱板炎、腱板損傷)

・肘関節の痛み(肘関節の靭帯損傷、離断性骨軟骨炎)

フォロースルー期 (Follow-through)

肩関節の最大内旋から、投球動作の最後までの段階。

肩関節の水平内転、肘関節の伸展に加えて、体幹の回旋が最大に達する。
 
起こりやすい障害

・肩関節の痛み(腱板炎、腱板損傷、SLAP損傷、ベネット骨棘)

・肘関節の痛み(肘頭の疲労骨折、骨棘形成)

投球障害のメカニズム 各論

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