神経科学の分野で研究されている筋シナジーですが、まだまだ臨床場面まで浸透していません。
ここでは、筋シナジーの形成過程から考えて、スポーツ動作にどのようにシナジーが関わっているか説明していきます。
筋シナジーは簡単に言うと、筋肉のグループ活動です。
筋肉のグループ活動がタイミング良く行われると運動のパターンができます。
Muscle synergyは運動発達と学習の結果
このシナジーは、基本的には幼児期の反射活動から開始されます。
例えば、乳児でも地面に足をつけると下肢を突っ張って指示する反射が起きます。また、針を足底につけると下肢を屈曲させる反射が起こります。
このように、生まれたばかりの乳児でも下肢を屈曲・伸展するという反射的なパターンを持っています。これは屈曲と伸展のシナジーを持っているということになります。
この基本的なシナジーが、歩行に応用されます。
新生児は屈曲と伸展の2つのシナジーしかありませんので、歩行はできません。
この2つのシナジーに、脚全体を支えるシナジーや足を振り出すシナジーが追加されて、4つのシナジーになることで歩行という運動パターンが作られます。成人になるにつれて、それぞれのシナジーが滑らかにタイミングよく活動することで、スムーズな歩行は獲得されるのです。
子どもの反射・反応から運動パターンが形成され、随意的にコントロールできるようになるという仕組みです。
スポーツ動作におけるsynergyとは・・
これが、スポーツ動作にどのように応用されるかジャンプ動作で説明します。
ジャンプ動作は、1−2才の跳び初めから、10歳頃までに成人同様に発達しますが、ジャンプ動作も発達の順番があります。
パターン1からパターン5まで順序立てて発達の過程を踏みますが、これをシナジーの視点から解釈することが可能です。
2歳頃までの小さい子供は腕を振って跳ぶことができません。
そこから、腕振りというシナジーを獲得し、さらに下腿を前傾させる(足関節背屈)というシナジーを獲得することで、シナジーを増やしていき動作が成熟していきます。
腕振りと身体の前傾のシナジーが協調して働くタイミングで、下肢の伸展が起こることで円滑なジャンプ動作が獲得されるのです。
スポーツにおける筋シナジーと動作の関係
① 反射による筋シナジーの表出(生まれながら持っているもの)
② 経験による筋シナジーの獲得(生活の中で獲得していくもの)
③ 活動のタイミングの最適化
- 筋シナジーは生まれながらに持っているもの(先天的)と、経験によって獲得するもの(後天的)の2種類がある。
- 筋シナジーが増えて、タイミング良く働くことによって、動作は成り立っている。
あらゆるスポーツ動作は
筋シナジーにおける活動とタイミングで説明ができる。
筋シナジーにおける活動とタイミングで説明ができる。
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