トレーニングの強度や量を調整することによって、パフォーマンスの向上と障害予防を両立させることができます。
トレーニング負荷を簡単に測定する方法は
トレーニング負荷 = RPE(自覚的運動強度)✖︎ 運動時間(分)
で計算することができます。
RPEとは、下記の表に示す実際の運動時に自分がどの程度の負担を感じているかを10 段階で示したものです。
本来であれば、心拍数などを計算することによって、正確なトレーニング負荷を計算することが望ましいのですが、主観的なトレーニング負荷(疲労感)を数値化することができます。
トレーニング負荷をどうやって使うか?
トレーニングセッション毎に負荷量を計算することによって、客観的な数値を求めることができます。
トレーニングの負荷を障害予防にどのように使うかですが
先行研究からいくつかの指標が得られています。
・1年間の障害発生状況とトレーニング負荷を調査する
・短期(週単位)/長期(月単位)の比率を調査する
・予測モデルを作成する
1年間のトレーニング負荷と障害発生
まずは、自らの競技が1年間でどの程度のトレーニング負荷がかかっているのか、どのトレーニングを行っている時に障害が発生しているのかを調査する必要があります。
下記は、ラグビーの年間トレーニング負荷と障害発生を求めた研究ですが、シーズン前とシーズン前半、シーズン後半によって障害の発生の仕方が変わっていることが報告されています。
この内容からプレシーズンの段階では、週当たり3000〜5000unitの間で、障害の発生率が大きく変化することがわかります。
また、疲労が蓄積してくるシーズン後半はトレーニング負荷が少なくても、障害の発生が多くなることもわかります。
競技によって、1年間の中でも障害の傾向が変化してくるので、自らの競技がどの程度の負荷量で障害が発生して、どの程度の負荷量を超えると障害が増えてくるのかを客観的に示すことは重要です。
短期と長期のトレーニング負荷の比率とは・・
短期と長期のトレーニングの負荷の比率をみることによっても障害が予測できると考えらています。
・短期トレーニング負荷 = 1週間当たりの負荷量
・長期トレーニング負荷 = 3〜6週間の負荷量の1週間の平均値
負荷比率 = 短期トレーニング負荷 ÷ 長期トレーニング負荷
目安:1.5以上で障害発生率が増加
1週間当たりのトレーニング負荷が高い場合には、障害の発生が多くなります。特に1.5を超えると障害発生率が上昇し、2.0を超えると障害の発生が2-4倍に増加するとの報告もあります。
これは、ラグビーやサッカーなどのチームスポーツでの報告があります。
急激なトレーニング負荷の増加は問題
短期と長期のトレーニング負荷量に加えて、1週間毎に急激にトレーニング負荷が増加した場合にも障害が起こりやすくなります。
15 %増加した状態から障害は増加傾向となり、障害発生が21〜49%増加すると報告されています。トレーニング負荷が2倍(100%増加)になると40 %以上も障害が発生しやすくなります。
内容をまとめると
・年間のトレーニング負荷量を測定して、障害傾向を知る
・トレーニングの短期/長期の負荷量を調整する
・競技毎の障害発生のモデル曲線を作り、障害を予測する。
・予測をもとに障害を発生させないトレーニングプランを組む
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