今回は、メンタルに関する示唆に富む研究を紹介します。
米国のミシガン大学の神経科学のアベルソン博士らの研究です。この研究グループは、ストレスや不安に対する研究を数多く報告しています。
Abelson JL, Khan S, Liberzon I, Erickson TM, Young EA. Effects of perceived control and cognitive coping on endocrine stress responses to pharmacological activation. Biol Psychiatry. 2008 Oct 15;64(8):701-7.
ストレスの程度を測定
アベルソン博士の研究は次のような内容です。
ペンタガストリンという胃酸の分泌を促す薬を投与して、人工的に不快感を作るように設定します。
この薬を検査者に点滴するのですが、2つのグループに分けて点滴を行います。
一つのグループには何も告げず、もう一つのグループには、「あなたの体はストレスを感じます。つらくなったり、吐き気がしてきたら、手元のボタンを押してください。そうすれば点滴が止まりますから」と伝えておきます。
その結果は・・
つまり、「ボタンを押せば、いつでもストレスを回避することができる」と分かっているだけで、実際にボタンを押さなくても、ストレスを減らすことができるのです。
逆に言えば、逃げ道がない状況・終わりが見えない状況というのは、本当に辛いストレスなのです。
もう一つこの研究から分かっていることは、点滴を打つ前にこの点滴が気分が悪くなるものと教えられていた場合と全く何も伝えられていない場合では、
目的を伝えられていない場合はストレスが大幅に増える
ということがわかっています。
科学的な地獄の練習とは・・
この実験からヒトがメンタルをコントロールする方法を学ぶことができます。選手にとって、地獄的なメニューは
目的が分からず、終わりが見えない練習は科学的にみても地獄
こうした内容は、練習が厳しいとされる名門校のメニューにも取り入れられています・
この内容はメンタルを鍛えるか、やられるか紙一重のメニューなので使う時には要注意です。
選手を伸ばす練習とは・・
この結果を逆の解釈をすることができます。選手がストレスを感じない狀態で、練習を進めていくためには自分自身で練習をコントロールできていると思うことが重要です。
まずは、目標を明確にすることで、選手にとって必要な練習を自分自身で消化することが必要になってきます。
心の持ちようで、ストレスは対処できるので、上手く活用していくことが重要です。
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