今回は、一流野球選手の投球動作を用いて、分析していきます。
野球の投球動作においても縦回転と横回転が存在するのですが、基本となる動きが異なります。
投球動作の上肢の動きとして
肘関節の伸展 と 肩関節の内旋 の動きがあります。
肘関節の伸展は、肘を伸ばす動作
肩関節の内旋は肩を内側に捻る動作
野茂選手 vs. ダルビッシュ選手
大リーグのドジャースを中心に活躍した野茂投手は縦回転の代表です。
縦回転の動きでは、肘関節の伸展の要素が強くなります。体幹を側屈させた状態で肘を高く上げることで、肘を突き出しながら腕を加速させていき、上腕の振り(肩関節の伸展)と同時に肘関節の伸展を組み合わせることで、上肢を加速させます。
縦回転の特徴は、腕を高く挙げられるため、直球に角度をつけられることと綺麗な縦回転をかける点で有利です。
ダルビッシュ選手は、横回転の要素が強いタイプです。
横回転の要素が強い場合には、肩関節の内旋要素が強くなります。
横からの回転の際には、肘関節の伸展の動きはあまり使えません。横回転の特徴は、体幹と股関節の捻り(回旋)の力を効率よく上肢に伝えられる点です。
近年のメジャーリーガーで縦回転の選手は少なくなりました。理由はいろいろと考えられますが、体幹の回旋や肩関節の内旋の方が、肘関節の伸展よりもパワー出しやすいために、球速が重視される時代には、投球動作は横回転が優勢になるのかと思います。
身体の回転方向は、変化球にも関係します。
野茂選手の代名詞と言えば、落差のあるフォークボールですが、
身体が縦回転をする場合には、腕の使い方としてフォークボールは最適です。その他、縦カーブやSFF(スプリットフィンガーファーストボール)などは、縦回転と相性が良いです。
一方で、横回転の動きと関連しやすいのはスライダーやカーブです。身体の回転方向に対して、球の回転方向が一致しやすいために使いやすい球種と考えられます。
変化球の多くは肘から先の手首・指の動きを調整することで、様々なボールを投げることができますが、体幹と腕の振りの慣性をそのまま利用できる球種は腕に負担をかけずに、変化を大きくすることが可能です。
この縦回転と横回転については、どちらが良いということはなく、股関節の柔軟性や体幹の使い方、肩の可動性など様々な要因によってタイプは変わってきます。
投球での上肢の動きについては肩関節の内旋と肘関節の伸展の組み合わせなので、各々が複合的に作用します。
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