“機能をみる”ということ

骨や靭帯などの構造的な問題ではなく、機能的な問題を捉えることがスポーツ障害において重要とされています。

機能的な評価は様々な方法があるのですが、評価内容をどうやって解釈するのか、どのような動きが原因でその現象が起こっているのかを考える必要があります。

私がよく使う機能評価に “Elbow push test (EPT)”があります。

肘を前方から押して、被検査者に押し返してもらう。
力が入らず押し返せないと陽性

Elbow push testは元々野球選手の投球障害に使われているもので、ソフトバンクホークスのスポーツドクターをされていた整形外科医の原先生が考案されたものの一つだと聞いています。

腰掛座位で、肘を押すと障害側では力が入らない現象が起こるという分かりやすい評価です。群馬大の恩師に教わったのですが、何故力が入らなくなるのかはその時は全くわかりませんでした。

広背筋や大円筋が硬くなったり(CATやHFT)、腹筋に力が入らないと、EPTに問題が出るのは何となくわかっていました。

肩甲骨を押さえて、肩甲上腕関節の動きだけをみる。
左右差があると陽性

数年前に気づいたことがあります。

投球動作において、

股関節を中心に回転運動が起こった場合には下半身がブレーキとなります。

しかしながら、いわゆる腕投げ=肩関節を中心に回転運動が起こった場合に

体幹の伸展でブレーキをかける必要があります。

そのため、腕投げが続くと肩の内旋動作が強調され広背筋や大円筋が硬くなるだけでなく、ブレーキをかける背筋が緊張して、腹筋に力が入らなくなります。

これが、Elbow push test が陽性になるメカニズムと考えられます。

このテストは全身運動が行えず、上肢だけを使う癖がある全ての競技に使えるので、ハンドボール、テニス、バレー、カヌーなどで応用が可能です。

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