勉強の方法論については、学習科学が進歩しているので様々なことがわかっています。今回は、勉強の仕方に関して考えてみたいと思います。
我々、理学療法士やトレーナー業界においても、セミナーや講習会は年々増加しており、人気のセミナー講師は業界では引っ張りだこです。
しかしながら、多くの方がセミナーで学んでいるはずなのに、選手や社会に貢献できている割合は驚くほど少ないのが現状です。
その秘密について、検証していきます。
医学教育においても、医者や医療従事者の技術を高めるために、多くのセミナーが開催されており、その効果が検証されています。そこでわかっている事実を紹介していきます。。
経験年数は関係ない
実は、専門職における経験年数と能力の高さには関係がないことがわかっています。
経験年数が高くても、能力の低い人(仕事ができない人)というのは存在していますし、逆に経験年数が低くても能力の高い人というのは沢山存在しています。これが科学的に検証されている事実は意外に知られていません。
残念ながら、医療の世界においては未だに経験年数によって能力を判断されることが多いのが実情です。特に、理学療法の世界においては年功序列の影響が強く残っています。
これには、知識や技術が明確に差をつけにくいことが一因として考えられます。
講義やセミナーの効果は少ない
あなたが予想する以上に、講義やセミナーの学習効果は極めて限定的と考えられています。
考えてみれば当然のことで、同じ小学校や中学校に通って、同じ授業を受けているのに勉強ができる子とできない子がいます。
同じように、講習会やセミナーに通っても、そこで学んだ知識を実際に使う人と使わない人がいて、知識が定着する人と定着しない人がいます。
同様の知識を与えられた時の学習効果は、驚くほど差がついているのです。
学んだものが効果を発揮するとは限らない
医学教育は、わずかな技能の向上をもたらしますが、その向上した技術が患者さんの治療に役立っているとは限りません。
その効果は、かなり小さいことがわかっています。
正しい学習方法は・・
セミナーや講習会で得た知識が限定的になるのは、理由があります。
それは、学んだ知識をそのまま選手や患者に当てはめてしまうからです。
この時、知識を使う人は自分の頭で考えていません。
- 専門家がいいと言っていたから・・
- あの方法には根拠があるらしいから・・
- テレビで紹介されていたから・・
知識を選手に当てはめようとした場合には、必ず不適合が生じます。選手や患者によって、合うものと合わないものがありますし、ヒトは感情で動いているので、論理だけでは上手くいかないことも多々あります。
信念なき対応は、不信感しか生まれません。
目の前の人をどれだけ大切にできるか?
ヒトが自ら勉強をする目的は、2つしかありません。
❶勉強自体が楽しいから
❷ 誰かの役に立つから
セミナーや講習会に頻繁に行く意欲の高い人でも、❶の場合の人がかなりの割合で存在します。新しい知識を学ぶことは、知的好奇心を満たすので、欲が満たされることで快感を得ることできます。
しかしながら、この動機で勉強すると問題が起こります。
あなたが必要と思った知識は、他人が必要としているとは限らないことです。
そのため、本来の勉強の仕方としては、❷が重要です。
目の前の困っている人や必要としている人に対して、知識は身につけていくべきです。
そのため、勉強の方法として、知っておくべきことは
どうやったら必要な知識を手に入れられるかを知っておくことです。
大切なことは、答えを知ることではなく、答えを探すための方法・手段を知っておくことです。
しかし、この方法にも問題があります。
失敗が増えることです。
知識がない状態で、チャレンジしようとすると失敗が起こる確率が増えます。そのため、ヒトは失敗をしないように一度学んだら、成功が確信できる方法に固執しようとします。
経験年数が能力と関係がないのは、
1年間で得た知識を10年間繰り返している人 と 毎日知識を積み重ねてチャレンジした10年間を繰り返す人 がいるからです。
何を知る必要があるか?を考える
問題に直面した時に、自分が何を知っていて、何を知らないかを明確にできることが大切です。
よくあるのが
”何が分からないのかが分からない” 状態です。
そのために、何をどこまでわかっているのかを整理して、わからない状態を明確にして、解くべき問題を知る必要があります。
そうすれば、書籍でも、インターネットでも、教員でもわかる人や物に頼ればいいのです。
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目標 仮説➡︎計画➡︎実践➡︎評価 の繰り返し、大事ですよね。言って見ればPDCAサイクル。
仕事でもトレーニングでもレベルアップ!ブラッシュアップ!ですね。