アスリートは自ら持ちうる資産を人生を通じてどのように運用していくのかを考える必要があります。
しかしながら、この資産をどのように運用して行くかを考えながらプランを立てているアスリートは非常に少ないのが現状です。
アスリートのセカンドキャリア(競技後の人生)を考える上で、資産運用の方法は重要です。
身体的資産を運用する
アスリートは競技を通じて、様々な資産を獲得していきます。
一番身近なものが、身体的資産です。これは、部活動・練習を通じて、自分の身体を成長させることによって増やしていくものです。
身体的資産があることによって、認知的資産も増やすことが可能です。
例えば、他の選手ができないようなプレーを自身ができることによって、それをヒトに伝えることによって、価値を持つことができます。
また、指導者の考え方や人への伝え方を学ぶことによっても認知的資産を増やすことが可能です。身体的な資産が大きいほど、一流の指導者から知識を学ぶ機会も増えますし、一流選手同士から学ぶことも可能です。
競技をやることによって、自らの身体的資産を増やすだけでなく、認知的資産に転換して、どのように運用していくかが非常に重要です。
また、身体的資産を文化的な資産に転用することも必要です。
アスリートが自ら教室を開く(サッカースクールや体操教室)ことや、起業して会社を立ち上げることなどがあります。
他にも、書籍を出版したり、知名度を上げてテレビや講演会など、異なる場所で活躍することなどが挙げられます。
文化的資産の特徴は、その後も残る資産である ことです。
身体的資産には限りがあります。選手時代に蓄えた資産を文化的資産に変換できるかどうかがセカンドキャリアを考える上で重要です。
特に、現役時代から異なる資産を蓄えて運用していくビジョンがあるかないかによっても、長期的な活躍ができるかどうかが変わってきます。
認知的資産を運用する
認知的な資産が大きい選手は、現役時代のキャリアが十分でなくても、長期的に成功しやすい傾向があります。
認知的資産は、選手の知識や経験を客観的に表現したものと捉えることができ、競技生活で獲得したものを転用する際には大きな力を持ちます。
認知的資産が大きいと、身体的資産も大きくすることが可能です。例えば、単純にトレーニングするだけではなく、自分に最適な負荷量を考えて、自分に合ったトレーニングをすることによって、競技パフォーマンスを向上させることができます。また、自らが考えて辿りついた答えについては、同じような問題で悩む選手によっては、貴重な資産となります。
また、認知的資産が大きいほど、文化的資産に転用しやすいメリットがあります。
例えば、知識や経験といったものを言語化して客観的に示せる能力があると、それらを活かして新しい職を探したり、自ら起業して文化的な資産を形成することができます。
また、競技を通じて得られたコミュニケーション能力は、様々なネットワークを構築する際にも大きな影響を与えることになります。
文化的資産を運用する
文化的資産については、有形・無形の資産があり、生まれつき持っているものと持っていないものなど、様々なものがあります。
例えば、家庭環境や練習環境は文化的資産の一つです。
生まれつき、経済的に余裕がある家庭とそうでない家庭においては、取り組める競技が変わってきます。例えば、フィギュアスケートは練習環境は限定され、練習用具や大会参加、衣装代、コーチの指導料など、経済的に余裕がないと競技を継続することが困難なものの一つです。
また、カヌー競技やサーフィン競技など、海や湖の必要な競技においては、特殊な環境で育つこと自体が文化的資産にとって大きなことになります。
文化的に恵まれた資産を持っていると、身体的資産に大きな影響を与えます。良い指導者につき、良いトレーニングを受ける、良い食事を取れる資産があれば、身体的資産は大きくなりやすいです。
また、文化的資産は認知的資産にも影響を与えます。良い指導者につくことによって、良質な知識を学べますし、良い経験を積み重ねることができると、その経験を資産として蓄え、運用することが可能です。
重要な考え方
様々な能力や知識、経験、環境を資産として捉えることは色々な視点を提供してくれます。
ここで、重要なのはそれぞれの資産には特徴があり、有形・無形のかたちで存在していることです。また、自らが持ちうる資産を運用して、どのように価値を提供するかによって、ライフプランに影響を与えるということです。
・限られた資産を、どのように運用するか?
・身体的な資産には期限と限界があることを理解しているか?
・自分が他人とは違う資産を形成しているか?
・文化的な資産として残せるものを考えているか?
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