高速ドリブルを持ち味とする選手は世界中に存在しますが、その中でもトップクラスなのがウェールズ代表で名門レアル・マドリードでも活躍したガレス・ベイル選手です。
ゴールを奪うためのドリブル
ドリブルはゴールを奪うための手段に過ぎません。
ドリブルをすることによって、シュートまでイメージができるかが勝負になりますが、実際にトップスピードでボールをコントロールしながらゴール隅に強烈なシュートを入れるのは容易ではありません。
実際にシュートコースを考えた場合、下図の赤のポイントでシュートを打たなければ、角度が狭くなり、ゴールを奪うことはできません。
また、シュートポイントがゴールから離れすぎるとゴールまでの距離が遠くなりますし、相手を十分に振り切るための距離を確保できません。
トップスピードを維持しながら相手を振り切り、シュートコースを確保できる位置にボールをコントロールする必要があるのです。
トップスピードでボールを運ぶ技術
トップスピードでボールを運んでいる映像ですが、この際の足の使い方が秀逸です。
ボールをアウトサイドで外から内に擦るようにボールを触ることで、ボールの運びを絶妙に調整しています。仮に、これが足の甲に真っ直ぐに当てているとボールに勢いがつきすぎて、タッチライン沿いまで走ることになります。
一般の選手との違い
普通の選手の場合
普通の選手であれば、直線的に走っているので、ボールに対して垂直に力を加えることになります。ボールが行きすぎないように、コントロールしようとすると垂直の力を弱める必要があるので、ランニングの速度を抑えなければボールの速度を調整できません。
ベイル選手の場合
ベイル選手の場合は、足首を瞬間的に斜め方向(内側)に向けることによって、足の速度は変えることなく、垂直方向の分力を使うことで、ボールに加える力を調節することができます。
真っ直ぐにボールに接触する力と斜め方向にボールに接触する力では、ボールに加わるベクトル成分が違うのです。
ちょっとした足首の使い方によって、ボールスピードを調整しているのです。
ボールを運ぶ足首の柔らかさ
高速で走りながらも、ボールを足の甲に乗せて、押し出すようにダッシュの勢いとボールコントロールを両立させています。これは、スロー映像で確認しないとわかりません。
単純にフルスピードの動画を確認するだけでは、ボールをポーンと蹴り出して、ヨーイドンの競争に見えるのですが、高度な技術が詰まっています。
トップスピードで扱いながら、ボールをシュートが出来る絶妙な位置に運び、鋭く脚を振り切っています。
足が速いだけの選手では、ここまでボールをコントロールすることができないのです。
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