歴代の日本代表の中でも最もフリーキックが上手いと評される中村俊輔選手の蹴り方について解説していきます。
今日の題材は、2003年のコンフェデレーションズカップのフランス戦で決めたフリーキックです。
助走の慣性を利用
助走の速度を速めることによって、身体全体の質量の速度を上げます。簡単に言うと、助走が速い方がキックスピードが上がります。
この勢い(並進運動)の力を、足の振りに使います。勢いよく助走をして、軸足を完全に止めることで、振り脚は慣性の法則で素早い振りが可能となります。
軸足の安定性
特筆すべきは、軸足の安定性です。
下の図で確認すると、ボールインパクトの直前の数コマで軸足はほとんど止まっているようにみえます。
ボールに勢いをつけるために、助走のスピードを速くしてアプローチしているのですが、しっかりと軸足を固定した状態で骨盤を回旋させ、脚を振り抜いています。足首から下はしっかりと地面を掴みながら、下肢は斜めの狀態でも安定した姿勢を保持できています。
ボールの回転のかけ方
ボールのインパクトの瞬間はインフロントからインサイドに近い位置で捉えています。その後の足部の動きをみると、フォロースルーにかけて足首が急激に内側に捻って、最終的に外側にまた戻ります。
インパクトの瞬間はボールに勢いをつけるために、下肢全体を伸展させてインサイドの面で強烈にボールを叩きますが、ボールが当たった直後に足首を急激に内側に捻りカーブの回転をかけています。
今回のフリーキックは、ゴールまでの距離があるのでボールを強く叩くことが中心となった蹴り方ですが、その中でもわずかに回転をかけて、GKからボールが逃げるような軌道を生み出しています。
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