どんな競技にもおいても一流選手は、自分の動きについて独特の感覚を言葉で表現することが多いです。
身体の感覚については、選手にしか絶対にわからない部分があるのですが、指導者やトレーナーはその感覚が意味していることを理解する必要があります。
野球選手の言語から解説してみます。
ダルビッシュ選手のyoutube動画をお借りして、千賀投手の感覚を理論的に視覚化してみます。
ボールを叩くというより、長く持つ感じ
ソフトバンクホークス 千賀投手(動画8分30秒〜)
千賀投手は160kmのボールを投げる速球派の投手ですが、
ボールを長く持つことによって生まれる科学的なメリットを考えて視覚化してみます。
ボールを長く持つほど、球は速くなる
ボールを速く投げる方法はいくつかあるのですが、物理的に説明します。
物体を加速させていくためには、時間と距離が必要です。
最大パワーが発揮されるまでには必ず時間がかかります。
車を例に説明すると、スタートの0kmから100kmに到達するために必ず数秒は必要で、速度を上げたければ加速に必要な距離を作る必要があります。
パワーの発揮の仕方には個人差があり、筋線維の特性も関係します。
瞬発的な力発揮が可能な速筋線維が多ければ、加速が早いので速度も短時間で上がりますが、遅筋線維が多い場合は同じように加速することができません。
筋線維の割合は、個人で生得的に決定している部分も大きいので、生まれつきの問題を解決するよりもできることに焦点を当てた方が有益です。
ボールを長く持つ方法
それでは、どうやったらボールは長く持てるのかを考えてみます。
多くの人は方法①しか、考えませんが手段は色々あります。
このように、選手のイメージが “ボールを長く持ちたい” という要求があれば、その言葉を別の表現で言語化したり視覚化して提示できると効果的です。
一流選手の言語には、突き詰めれば科学的な理由がありますが、万人に理解できるものではありません。その言葉が意味しているものを客観的に考える必要があります。
言語の理解には、まずは目的が大切!
選手が言葉を発した時には、選手が求めている本当の目的を捉えることが不可欠です。
例えば今回の場合は、千賀投手はボールを長く持つという言葉を使っていますが、何かの目的のためにボールを長く持つという手段を選択していることです。
球を速く投げる? スピンを多くする? コントロールを良くする?→ ボールを長く持つ
選手の感覚は、目的を達成するための一つの手段や結果を表すということです。
指導者はそのことを理解しておく必要があり。感覚で伝わる選手と論理的に伝わる選手では伝え方を変える必要があります。
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