予測的姿勢制御の原理
サッカーやバスケットボールなどにおいて、状況が刻一刻と変化する競技でどのように相手の動きを予測して動いているのかは、まだまだ解明されていません。
ここでは、予測的姿勢制御の論文をもとに、仮説を立ててみます。
Miriam Klous, et al. Two aspects of feedforward postural control: anticipatory postural adjustments and anticipatory synergy adjustments.J Neurophysiol. 2011 May; 105(5): 2275–2288.
予測的に動きを行うときには、自分の重心を安定させた上で、動作を行わなくてはいけません。
予測的な姿勢制御においては、2つの側面があると考えられますが、今回は外乱に対しての反応についてみていきます。
対戦相手との接触やボールへの衝撃など、ヒトに対して力が加わった時に姿勢を安定させる方法は2つです。
1.筋肉を使って力に対抗する = カウンターアクティビティ
2. 姿勢を変えて力に対抗する = カウンターウエイト
簡単に図で説明します。
例えば、垂直に立っている状態で前方から物体(ここでは鉄球)が飛んでくるとします。
力に対抗する一つの方法は、全身の筋肉で身体を固めて衝撃を受け止めることです。この時、重心はほとんど変化しません。
一方でもう一つの方法は、鉄球が向かってくる方向に身体を少し傾けることで、衝撃を受けた力と重心のバランスをとることで安定を保つ方法です。この方法では、衝撃を受ける前に重心を移動させる必要があります。
・力(筋力)がある場合 → 重心移動が少ない
・力(筋力)がない場合 → 重心移動が大きい
基本的には、本人が持っている力(筋力)の状態によって外乱に対する重心の移動が決まってきます。
しかしながら、ここで問題なのが重心移動が大きい動作を学習した後に筋力がついてきたにも関わらず、重心移動が小さい動きに変化しない場合です。
幼少期に大きな負荷(重量)のかかる動作を繰り返すと、バランスをとろうとして姿勢が傾くことがあります。その動きを一旦学習すると、なかなか修正が困難な場合が出てきます。
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