体幹の筋肉は、脳の中でも大脳皮質と呼ばれる運動の司令を出す神経の数が上肢に比較して、割合が非常に少ないため、意識的に使うことが難しい部位の一つです。
ただし、あらゆる競技において体幹をどのように使うかによって、パフォーマンスは大きく変わってきます。
今回は、カヌー競技を例に考えてみます。
カヌー競技はパドルをまっすぐ引いて進むものと思っている方が非常に多いのですが、実は腕の力よりも体幹の回旋の動きによって大きな力を生み出しています。
特に、体幹の回旋を生み出すためには外腹斜筋と内腹斜筋が協調的に働くことによって、背骨を軸として強い力を生み出しています。
また、腹斜筋だけでなく、腹斜筋と前鋸筋を連動させることで上肢と体幹の力を連動させて安定を作ることができます。
お腹の正面にある腹直筋を使い、体幹を垂直方向で安定させて、さらに腹斜筋によって回旋運動を生み出すことによって効率の良い動きを作っています。
体幹の動きに上肢を固定させることによって、パドルから水中へと力を伝えているのです。
実際に体幹の回転モーメントを考えると、背骨を回転の支点と考えると腹斜筋が付着している部分の方が、脊柱起立筋が付着している部分よりも遠くに位置しているため、腹斜筋によ体幹回旋モーメントが大きくなることがわかります。
体幹の回旋動作は神経学的に難しい動きではありますが、使えるようになると高いパフォーマンスを発揮することができるようになるのです。
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