子どもの才能は科学で分かるのか?

遺伝か環境か?

遺伝子研究は、神経科学などの研究などど併せてスポーツ分野で最近盛んな領域の一つです。

2万数千個の遺伝子は、細胞を作るための設計図と考えられており、設計図から生み出される個々の細胞の能力によってパフォーマンスや障害を説明できるのではないか? と考えられています。

簡単にこれまでわかっていることを抜粋して紹介します。

遺伝研究とは・・

遺伝の研究は、双子や家族研究によって検討されます。双子の中でも、一卵性双生児は遺伝情報が全く同じであり、育ってきた環境が異なるので、遺伝率を調べる時に最適の対象となります。

スポーツのパフォーマンスは、様々な要因が関連して成り立っています。

これまでわかっている遺伝率を見ていきます。

得られたパフォーマンスの結果を、双子で相関をみることで検証できます(完全に結果が一致した場合は100%)。

遺伝の研究のほとんどが50%程度です。

これは先天的なものが半分で、後天的なものが半分であるという内容です。

そもそも持っている遺伝子の能力なのか、トレーニングで影響を受けた遺伝子によるものなのかも明確にできません。

例えば、持久的トレーニングによる最大酸素摂取量のトレーニング効果を検討した研究では、47%の遺伝率であったと報告されています。

遺伝の影響は、半分くらいというのが、全体的な結果です。

遺伝の研究では、ほとんどわからない

  • 遺伝の研究は、ある遺伝子から細胞を作る際には何かしらの要因が必要と考えられている。

例えば、長寿遺伝子として知られるサーチュイン遺伝子は、空腹状態になると発現することが知られており、空腹という刺激によって遺伝子のスイッチがオンになると言われています。

  • パフォーマンスに影響する遺伝子が多すぎる。さらに、各遺伝子はお互いに影響を与えるので、どの遺伝子が重要か特定できない。

パフォーマンスと一言で言っても、筋力、柔軟性、持久性、瞬発力、協調性など様々な能力があり、それぞれに多くの遺伝子が関係していると言われています。

遺伝率が高いと言われる身長は、およそ8割が遺伝とされていますが、遺伝に関係する遺伝子は500を超えると言われています。

ただ身長というものだけでも、骨や脂肪、筋肉が影響しており、骨だけでもカルシウムやリンの代謝、結合などそれぞれに影響を与える遺伝子があるので、何か一つの遺伝子があれば身長が大きくなるわけではありません。

遺伝子の研究は、測定しようする指標(筋力、最大酸素摂取量など)に影響を与える遺伝子の数が多いことに加えて、その遺伝子がどのトレーニングの影響を受けて発現する(効果を発揮する)のか、まだ分からないことがたくさんあります。

遺伝情報に基づいてトレーニングを考えるべきか?

遺伝子のトレーニングの関係について、調べる研究が増えています。遺伝子のタイプに応じて、パワー系と持久系のグループに分けて、低強度トレーニングと高強度トレーニングのどちらが効果的か検討するような内容です。

トレーニング前後のジャンプの距離を測定し、

持久系タイプ遺伝子群  → 低強度トレーニングが効果的

パワー系タイプ遺伝子群 → 高強度トレーニングが効果的

と言った内容です。遺伝子によって、トレーニングの反応が異なる可能性が示されています。

しかしながら、多くのスポーツ競技はパワーも持久力も必要とされる競技大半です。

さらに、小学校〜高校までのスポーツの多くが団体で行動をするので、個別の遺伝子に焦点を当てたプログラムは非現実的です。

遺伝研究の限界を知り、知識として整理しておくことが重要

やってみなけりゃ分からない

遺伝研究から私が考えることは、どんなに優秀な遺伝子を持っていたとしてもやってみないと分からないということです。

どんなにサッカーが上手い遺伝子を持っていたとしても、サッカーをやらなければ才能は開花しません。

どんなに有酸素能力が伸びる遺伝子を持っていたとしても、有酸素トレーニングを継続できなければ能力は伸びません。

幸か不幸か、両親から譲り受けた遺伝子は変えられません。親や指導者が出来ることは、子どもの才能を信じて、遺伝子が発現される環境をどうやって提供するかということです。

子どもの才能(遺伝子)を開花(発現)させよう!

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