運動が苦手な子どもができないこと
運動が苦手な子どもは、特にボール投げやサッカーなどの球技が難しい傾向にあります。ボールやラケットなどのボールを操作する動きを操作系のスキルなどと呼ばれますが、運動が苦手と言われる子どもは操作系のスキルが困難です。
その一つの原因が
対象をきちんと見ていないことです。
実際に人は、きちんと対象物を目で追い、軌道を予測することで対応しています。
基本的なスキルとして、
目と手の協調性が必要です。
まずはきちんと見ること
運動をする時に、一番最初に気にするべきものは、きちんと見ることができているかです。
特に、野球、サッカー、バスケット、テニス、など一定のスピードでボールを扱う競技であれば “見る” ということが大前提になります。
この見るということは、視力とは違います。
イチローや山田の視力がそう良くないのに、高いパフォーマンスを発揮できるのは、眼の使い方、見方、「眼と意識と身体のつなぎ方」を熟知しているからだ とされています
(視力の低いイチローと山田哲人が示す、「眼がいい」の正体NEWSPICKS 記事より 2016)
科学的に“見る”とはどういうことか?
私たちは実際に見ている能力に差が生じています。
物体が飛んできた時に、ボールの画像を後頭部の視覚野という部分に網膜の映像を写し撮りますが、
そこから、その情報を二つの経路で処理しています。
物体が何であるか → What経路
物体がどこにあるか → Where経路
そのため、私たちは物が何であるかを判断するという能力と、物体がどの位置にいて、どういった動きをしているかを判断する能力に分かれているのです。
スポーツで要求される能力はWhere経路なので、視力がある程度低くてもこの能力が高ければ対応することができるのです。
こうした目を鍛えるトレーニングは一部の選手にとっては、非常に高い効果を発揮しています。
さらに、トレーニングを始めた初心者や運動が苦手な子どもにとっても、効果的であることが確認されています。
Quit eye Training とは・・
Quiet Eye(以下,QE)は,運動を遂行時にみられる運動開始直前の最終の固視(特定の標的物に対する視野角 3 度以内,100ms 以上の視線の停留)と 定義されています(Vickers,2007).
つまり、ターゲットをしっかりと注視して、見ることができるかということです。
QE は,スキル遂行上に最適な場所への視点の注意を促すため,意識的な処理や注意散漫を予防し,運動計画の質を向上させる機能を示しています.
さらに,QEの機能を活かした QET(QE 時間を確保する,熟練者の視線行動を学習する等)を実施することで, どんな状況においても、注意機能や運動計画がが阻害されないため、パフォーマンスが低下しにくいことが明らかにされている
実際に、運動が苦手な子どももQETにて改善することが報告されています。(Miles CA et alRes Dev Disabil. 2015; 40:31-41)
Quiet eye training の実践例
Quiet Eye トレーニングについては、多くの研究で実践され、効果が検証されています。
実際には、様々な方法があるのですが、対象物(ボールを投げる位置、蹴る位置)をしっかりと見定めることができているかが重要です。
まずは、動作の際に視線や頸部の動きを確認することが大切です。
運動を始める際には、まずは正しく対象物を見ているか、視線の先や頸部・体幹の動きを確認しましょう!
Recent Posts