豪快なシュートで得点を量産する世界トップレベルの選手について、強烈なシュートの秘密について、科学的に分析してみます。
今回の分析対象は、2009年に世界最高のゴールに認定された(プスカシュ賞)チャンピオズリーグ準決勝のポルト戦でクリスティアーノ・ロナウド選手が決めた一撃です。
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脚の振りの角度
キック動作はよく見ると、強烈なシュートを打つ際には、脚が横に少し開いた状態(股関節外転)で脚を振っています。多くの選手において、脚を真っ直ぐに振ることはありえません。
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その理由について説明します。
1)脚を真っ直ぐ振っている状態
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2)脚を横に開いて振っている状態
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一つ目は、腸腰筋の使い方の問題です。脚を強く速く動かすためには、股関節の動きを大きくする必要があります。股関節を動かす主要な筋肉に腸腰筋という筋肉があります。これは、腰の骨(腰椎)から太ももの骨についているのですが、角度的に斜めを向いて走行しています。
この筋肉の走行に沿って、筋肉を動かすためには脚を少し開いた方が効率よくキックすることができます。
仮に脚を真っ直ぐにすると、腸腰筋の走行とは異なるため、力としては分力を使うことになり、筋発揮の観点から効率が落ちてしまいます。
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2つ目は回転のモーメントです。脚を横に開くことによって、重心と脚の回転の半径が広がるため、回転モーメントが大きくなることで、大きな力を発揮することができます。
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足首の使い方
シュートの直前の右足に注目してみると、シュート前のステップ動作の段階で踵が浮いており、足首を固めた状態で準備態勢に入っていることがわかります。
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足首を固める利点は、下腿の筋肉の緊張を高めることによって、剛性を高めて強い衝撃をボールに加えることができます。
大腿部を高速で動かし、膝から下(下腿部)を固めることによって強い力をボールに加えることができます。
この一連の動きを無意識に行なっていることが、一流選手の凄いところです。
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