ドルトムントに所属する若干19 歳のアーリング・ハーランド選手ですが、様々な最年少記録を更新しており、2020年最注目の若手選手です。
2020年のCLで優勝候補のパリ・サンジェルマンから2ゴールを決めて、一躍時の人になりました。その2ゴール目にテクニックが凝縮されていたので解説していきます。
10 代の選手としては、完成度が非常に高く、身体の使い方が抜群です。
下肢の振りを速くする3つのポイント
シュートの速度において、目を見張るものがありますが、凄まじいシュート速度を生み出す身体の使い方について説明します。
下肢の振りを速める方法は幾つかあるのですが、
① 上半身と下半身を対角線上で逆方向に動かす
② 大腿部の屈曲ー伸展の動きを大きく速くする
③ ボールインパクトの瞬間に大腿部は止め、下腿部の速度を上げる
右腕は一旦大きく振り上げてから、振り下ろすような動きをします(肩関節屈曲→伸展の動き)。
それに対して左下肢は腕を上げた際に後方に大きく引いて、その後に大腿部を素早く前に振り下ろしています(股関節の屈曲→伸展の動き)。
体幹全体も一旦大きく沿った状態から、腹部を中心に手と足をくっつけるように力を入れています。こうすることで、腹筋や腸腰筋といったボールを速く蹴るための筋肉を効率よく使うことができるようになります。
また、大腿部(ふともも)の振りを速くした状態で、太腿の動きを止めることによって末梢部の下腿の速度を上げることができます。
ハーランド選手のスイングをみると大腿部のところは大きく振り上がることはなく、膝から下の部分だけしなるように速度が上がってボールをインパクトしていることがわかります。
シュート方向を変える股関節の使い方
斜めにドリブルをしながら、直線的なシュートを打つためには高度なテクニックが必要です。
これを可能にしているのが股関節の使い方です。
スローで確認すると下図のような左下肢の動きをしています。
これは、左下肢を内側から外側に遠回りさせるように動かして、外側から内側に振り下ろすことによって、ボールを直線的に捉えることができています。
外側から内側に瞬間的に動かしているだけでなく、上から下に振り下ろすようにボールを叩いているので、ボール速度が驚異的なスピードで飛んでいっています。
普通のキック動作においては前後の動きだけですが、この動作をするには左右と回旋に関する筋肉が必要になってくるので、股関節周囲の筋力や協調性がないと上手く蹴ることができません。
衝撃を吸収しながら、パワーを生み出す軸足
軸足の使い方も非常に優れています。
ドリブルが斜め方向に進んでいるので、軸足も必然的にゴールに対して斜めを向いてしまいます。
しかし、ハーランド選手はシュートの瞬間に下肢の向きをゴール方向に向けて踏み込んでいます。
さらに凄いのが、膝を上手く使ってドリブルの勢いを吸収すると同時に、瞬間的に膝を急激に曲げることで重心を落とし、下肢の振り出しを速くすることに成功しています。
一般的な選手の場合、軸足が突っ張ってしまい上手く踏ん張れずにシュートが左方向に流れることが少なくありません。
また、左方向から中央に流れてくると左足でボールを巻くようにして蹴る選手が少なくありませんが、このスピードでボールをコントロールしながら直線的に打ち込めるには両下肢に相当な筋力が必要です。
繊細かつ完璧なファーストタッチ
豪快なシュートばかり目につきますが、シュートに行くまでのボールコントロールも完璧です。特にファーストタッチのボールの扱い方が秀逸です。
ここで使っているテクニックはこのサイトで紹介されています。
サカイクHP:https://www.sakaiku.jp/
中村憲剛が伝授! サッカーで速いボールを正確にトラップするコツは「軸足を浮かすこと」
https://www.sakaiku.jp/series/kengo/2015/010655.html
ボールタッチする瞬間に、軸足(右脚)を軽く浮かしながら、さらに左足首を外に開くことでボールの勢いを吸収して空いているスペースにボールを転がしています。
これは、ボールがトラップで流れたのではなく、コントロールして流している証拠です。
非常にシンプルなワンプレーですが、シュートテクニックが凝縮されています。
Recent Posts