世界No. 1の選手であるリオネル・メッシ選手ですが、ドリブルをスロー映像で分析することによって様々なことがわかります。
イニエスタ選手と同様に高速ステップの裏側にあるドリブルのメカニズムについて解説していきます。
異常すぎるステップ数
メッシ選手と迫ってくる相手選手のステップ数を数えてみます。
通常でも1.5倍、早い状態だと2倍ほどステップの数が違います。
ステップの速さは筋肉を動かすための神経の機能がずば抜けて凄いことを物語っています。
人より速くステップを踏むことができるので、相手が足を出した際や重心が傾いた際に逆方向に動くことが容易になります。
最強の後出しジャンケン
ステップが非常に高速で行え、なおかつ股関節や足関節周囲の強さと神経の速度が異常なので、相手が止まると分かってから動かすことができます。
動画を確認しても、相手が明らかに止まる体制をとっている状況を判断してから、右脚を開いて(右股関節を外転)逆方向に踏ん張る動きをとっています。
切り返しのテクニック
相手が止まるの分かってから左足で切り返しを行なっているのですが、切り返しの局面においても身体の使い方に様々なテクニックがみられます。
一般的な選手
一般的な選手の場合は、左足のアウトサイドで切り返した後に、右脚で踏ん張って進もうとするとボールは直線的に動きます。
直線的にドリブルで進んできた状態で急激に方向を変えるためには、ボールをアウトサイドで当てて方向を変えるのが精一杯です。
メッシ選手の場合
メッシ選手は高速でドリブルしてきた状態であっても、ボールを足首に乗せるようにして、方向転換することができます。
さらに、左脚を外側に開いてボールを動かしながら、右脚は内側に絞るようにして(股関節の内旋)方向を変えているため、ボールの軌跡は曲線を描き、相手の足に当たることなく抜き去ることができます。
股関節や骨盤が回旋の動きをしながら、ドリブルしているため、ボールの軌跡が曲線的に動きます。
よく表現として、スキーのスラロームのようなドリブルと表現しますが、曲線的な動きが連続すると、滑らか動きに見えるのが実態です。
緩急をつける身体の使い方
ドリブルで相手を引きつけた状態で、逆方向に進む瞬間に両手を後方に下げる動きをとっています。
これは、腕を後方に下げることによって重心を瞬間的に後方に下げてブレーキを目的と全身の伸展の筋肉の活動を高める役割の2つが考えられます。
腕を後方に引き、肩甲骨を寄せるように活動させることで、下肢の踏ん張り(下肢の伸展活動)を高める働きがあります。
メッシ選手の特異的な可動域
このように足首を捻るだけで、方向転換することができるのが特徴ですが、この動きをするためには可動域が必要です。
下の図のように、メッシ選手は下腿と足首が外側に開く角度が普通の選手より遥かに大きく、膝から下の可動性が非常に大きいです。
ドリブルの背景にある根本的な身体的特徴(筋力や柔軟性)を知っておく必要があります。
自分の体格や身体の特徴が違う選手のプレーを真似しても、上手く出来ないこともあります。
また、あれだけのステップを高速で踏むためには頭で考えていては動きが遅くなります。幼少期から様々な環境で、多くのボールに触れる機会がなければ身につかないものです。
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