子どものスキルを上げる方法の一つに
スケーリング(scaling)を調整するというものがあります。
Tim Buszard, Machar Reid, Rich Masters & Damian Farrow . Scaling the Equipment and Play Area in Children’s Sport to improve Motor Skill Acquisition: A Systematic Review:Sports Medicine volume 46, p829–843(2016)
今回は、この論文の内容を紹介します。
運動技能習得を改善するための子供のスポーツ用具と遊び場のスケーリング
スケーリングというのは簡単に言うと、子どものサイズに適した用具やプレーエリアを設定することを指します。
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多くの国際競技団体では、10歳未満の子どもには対して適切な範囲のプレーエリアを提供するように呼びかけています。
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心理的な要因
たとえば、8歳の子供が小さなコートで低コンプレッションボールでテニスをしていると、フルサイズのコートで標準的なテニスボールで遊んでいる子供よりも、練習セッション中のエンゲージメント(成約率=練習をきちんと遂行した割合)が高かったと報告されています。
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スケーリングされた状態では、ボールを打つ機会の数を増やす環境を作り出しているため、結果として、タスク(テニスのプレー)への関心が高まりました。スケーリングされていない状態にある子供は、プレー関与の機会が少なく、そのため、課題が難しすぎて、あまりプレーに関与していないと感じてしまいます。
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10歳の子供77人が参加するバスケットボールの研究では、48人(62%)はジュニアボールの使用を好み、7人(9%)は大人の男性用ボールの使用を好みました。結果として、ジュニアボールはすべての子供たちのパフォーマンスを向上させましたが、子供たちが好みのボールを選択して、使用した場合にはパフォーマンスは大幅に向上したことが観察されました。
つまり、自分が使いやすいサイズのもの(コントロールできる)を使用した方がパフォーマンスは上がるのです。
自分でコントロールできる感覚を掴むことは、運動への高い動機付けにつながると考えられているのです。
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スキルパフォーマンスへの好影響
子どもに適したサイズのボールやラケットを設定するだけで、パフォーマンスが変化することが知られています。
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自分がコントロールできるサイズのものを使用することで、適切なスキルが身につき、動作の成熟や成功率が上がることが証明されています。
認知処理への影響
扱いにくい道具を使うことになると、脳に余計な負担がかかります。脳の中でも、意識的に使う部分を要求されるため、無意識に動作を落とし込むことができません。
動作の学習に、意識的な部分を使いすぎると、応用的な動作ができなくなることがわかっています。
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スケーリングをすることによって、脳の過剰な負担を減らすことができ、無意識的な学習を加速させることが可能となるのです。
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