子どもへのトレーニングには様々なものがありますが、大人になってからの介入よりも幼少期への介入の方が効果的である報告が多数出ています。
私の専門分野でもある障害予防の観点からも2018年のIOC(国際オリンピック委員会)の声明にて、
アスリートの発達段階の早期に障害予防を実施すべき
との見解が示されました。
障害予防の研究は、前十字靭帯損傷や足関節の捻挫などを中心に世界的に取り組まれており、そうした研究を分析した結果、幼少期の介入が効果的であることが示されています。
幼児教育ブームの発端
幼児教育が効果的であることを示したのが、下記の図でも有名な教育の投資効果に関する研究です。
ノーベル経済学賞にも繋がったペリー就学前プロジェクトは、1962年から1967年に低所得世帯の子供を対象に実施された研究です。就学前の幼児に対して、毎日2時間半ずつ教室での授業を受けさせ、さらに週に1度は教師が各家庭を訪問して90分間の指導をしています。
指導内容は、教師は子供が自分で考えた遊びを実践し、毎日復習するように促しました。復習は集団で行い、子供たちに重要な社会的スキルを教えた。就学前教育は30週間続けられ、就学前教育の終了後、これを受けた子供と受けなかった対照グループの子供を、40歳まで追跡調査されました。
長期的な効果を検討した素晴らしい実践研究です。
最も特徴的なのが、就学前教育を受けた子供は、受けなかった子供よりも長期的に学力検査の成績がよく、学歴が高く、特別支援教育の対象者が少なく、収入が多く、持ち家率が高く、生活保護受給率や逮捕者率が低かったということです。
その投資効果は年換算で7%以上とも言われ、どんな金融商品よりも高利率という結果がです。
スキルがスキルをもたらし、能力が将来の能力を育てることを証明しました。
幼少期に認知力や社会性や情動の各方面の能力を幅広く身に付けることは、その後の学習をより効率的にし、それによって学習することがより簡単になり、継続しやすくなると考えられます。
スポーツの世界でも言えること
スポーツの世界においても同様の現象が考えられます。長期アスリート育成に関しても、10歳ごろまでに基本的な運動能力を身に付けることが重要と考えられています。
また、カナダではPhysical Literacyという言葉を使って、身体能力に関する基本的な理解を促しています。
基本的運動能力の学習最適期として、運動の世界でも幼児教育が推奨されています。
しかし、この時期の子どもたちは認知的な面が発達していないので、大人の言葉が届きにくい特徴があります。
いかにして、子ども達を育て導いていくかが重要です。
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