スポーツの知の深化と探求 一流の条件

最近、Microsoft社が出している、Hololens2を使用した研究を考えています。Augmented Reality(拡張現実)という技術を使ってスポーツ分野に応用していく研究を考えています。

最先端のテクノロジーを利用することに関して考えていることをお話します。

まず、良い指導者や良いトレーナーの条件として

知識の深さと広さが挙げられます。

これは、指導者やトレーナーなどに限らず一般的な人材育成の場でもよく言及されることです。

知の深化と知の探求

知識の深化とは、一般的には専門性と呼び替えてもいいかもしれませんが、その業界・分野に関する深い知識を突き詰めていくことを指します。

一方で、知の探求とは、専門性ではなく、知識の幅の広さを指し、他分野にまたがる横断的な知識のことを指します。

この、言葉については、入山章栄氏の“世界最先端の経営学”の著に詳しくは書かれているのですが、この考え方はどの分野にも応用することができます。

知の深化の限界

専門性を突き詰めていく知の深化ですが、一般的には専門性を高めていくことは称賛されるべきものですが、実は多くの問題を抱えています。

これは、中長期的にみると成長が停滞してします可能性があるということです。

例えば、トレーナーであれば1つの手技を身につけていたり、その手技に拘っている場合に目的を見失うことが出てきます。

選手や指導者には、その専門的な手技を理解することがわかりにくいため、手技がハマれば効果的ですが、失敗すると“あいつは変なやつ”というレッテルを貼られ、二度と採用されない可能性があります。

また、専門性を突き詰めると、相手が全く理解できない世界に入ってしまうので、説明が難しいという欠点があります。コミュニケーションの基本は相互理解なので、専門的な話を繰り返すと選手が納得のいく説明が難しくなってしまいます。

ヒトは、理解できないものについては、無条件に受け入れるか、拒否するかの極端な反応を示す傾向にあります。

知の深化を求めるだけでは、選手・指導者に接するものとしては限界があります。

また、指導者においても優秀な指導者は自分の限界をよく知っています。そのため、優れた指導者は勝つためであれば、全く違う分野の一流の人材を躊躇うことなく引っ張ってきます。

一例ですが、

・マンチェスターシティの監督グゥアルディオラは、監督学校の講師をしていたフィジカルトレーナーを引き抜いた

・FC東京が躍進した年に長谷川監督はコンディショニングアドバイザーとして上松大輔氏を誘った。

https://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201909250010-spnavi

その他、一流の監督と呼ばれる人が他業界で活躍していた人材を引き抜くことは珍しいことではありませんが、他業界で活躍していることを知っておくためには、知の探求を行い、アンテナを広げておくことが必要なのです。

見ている世界が違う・・

指導者やトレーナーの仕事の基本は、選手を見ることにありますが、どこまで見ているかによって対応は変わってきます。

わかりやすい例が、選手の疲労です。毎日、選手全体の顔色と動きを観察している指導者はちょっとした変化に気づくかもしれません。

一方で、起床時の心拍や毎日の疲労度をデータとして扱っている指導者であれば、疲れていそうな選手にフォーカスして見ることができる利点があります。

どちらがいいということではなくて、データは使い方なので、使い方を間違えると先入観を持ってみてしまったり、選手の表情を毎日観察するという意識が欠けてしまうリスクもあるのです。

結局は、どこまで考えて見ているかという問題です。

最先端のテクノロジーを使う理由

時代は常に変化していくので、指導者が求めるものも変化していきます。それが世界のトップや日本のトップであれば、より良いデバイスを利用して、最先端のテクノロジーを利用して、勝利を目指すのは当然の話しです。

一方で、トレーナー業界もテクノロジーを使う人と全く使わない人のニ極化が進んでいます。今後の状況を考えると、テクノロジーを使えない人が日本代表レベルになるのは難しい時代になってきています。

その理由は、例えばマッサージの上手い下手はなかなか客観的に示すことができません。また、人によって効果の感じ方が違うので、説明することが難しいのです。そのため、もし指導者がGPSを利用した練習メニューを使う人であれば、GPSデータを利用して疲労度や選手の癖を捉えてマッサージしながら、選手にフィードバックできるトレーナーが入れば、そちらを優先的に採用するのが優れたチームであると考えられます。

どうしても、業界内の評判によって考えがちですが、勝負する世界によって求められる能力が変化していきます。テクノロジーの進化も含めて、新しい物を取り入れていく姿勢が大切です。

経験とデータのハイブリッド(両利き)

知の深化と探求は両利きの戦略が最も効果的であると言われています。

現場に出向いて、選手の現状を知ることはもちろん大切ですが、一方でテクノロジーを駆使して客観的に多面的に分析して対応することも欠かせません。

常に、時代に合わせて進化し続けることが一流の条件であるということです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です