スポーツ傷害における進化論的考察

ヒトの身体は動物から進化した

スポーツ傷害でよく問題として、膝関節の外反という膝が内側に入りやすい構造的・機能的問題があります。

ジャンプの着地動作などで、どうしても膝が内側に入りやすくなってしまいます。

この構造的な問題は、生物学的な問題でもあり、女性においては骨盤が胎児を収納するために広く形成されており、必然的に膝に対して角度がつくようになってしまいます。

そのため、膝関節の外反は男性よりも強くなり、結果として膝の靭帯損傷や膝周囲の問題が起こりやすいとされています。

しかし、この膝の外反という構造は、ヒトに特有の形態でチンパンジーやゴリラなどの四足歩行を基盤とする動物では、大腿骨は真っ直ぐの構造をしているため、膝に外反の角度がつくことがありません。

これは、犬や猫などでも同様で、ヒトほど膝に角度がついている動物はなかなかみられません。

もし、二足歩行において下肢が真っ直ぐの構造をしているとしたらどうでしょうか?

重心の移動が上下左右に大きくなってしまうため、エネルギー効率が悪く、長時間の運動・歩行が困難となってしまいます。

そのため、膝の外反角度がつくことによって、重心と膝関節の距離が近くなりエネルギー効率を良くするように進化したと考えられているのです。

つまり、膝の怪我の原因を辿ると

進化的な問題である

と考察することが、実は最も妥当な考えに至ってしまうのです。

こうした進化医学的にスポーツ障害を考えることは他の疾患でも有用ですので、また紹介していきたいと思います。

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