大切にしたい触り方

理学療法士やトレーナーは対象者に触れて、治療やケアを行う職業ですが、意外に触り方を習っていないことが多いです。

触覚に関する研究は、細胞レベル、分子レベルで研究されており、新しい知見がたくさんあります。

科学的にどうやって触れるのが、最も心地よいのかを考えていきます。

見た目が重要!

触り方の前に、まずは人としての見た目は重要です。

私たちは、触れられた感覚を脳に伝えて“感じる”のですが、感じ方というのは様々な感覚が複合されて生じます。

そのため、ただ触るのではなく、触られる相手の見た目や香り、などを統合して“感じる”ことが行われています。

カッコいいや可愛いなどの人の見た目や、落ち着いた雰囲気や心地よい空気などによって治療の効果は変わってくるのです。

心地よい触り方は?

触られた感覚は神経を刺激して、脳に伝わっていくのですが、触られたという感覚と一緒にそのときの感情が脳に伝わります。

感情が伝わる神経は、伝わるの遅いのですが、快・不快の感情は後々強く残ります。

そのため、心地よい触り方を知っているかどうかで、相手の印象が変わってくるのです。

大切な手の形

上の二つの手の形を比較して、どちらが触るのに適しているでしょうか?

正解は左側です。

これは、直感的にわかるのですが、その理由を答えられる人は意外に少ないのです。

理由の一つが、手の形を作るために使う筋肉です。左側の手の形は、手の中に筋肉を優先的に使っています。これを手内在筋優位の手というのですが、虫様筋という筋肉を中心に使っており、手の平全体で触ることにより、接触面積が増えると同時に、神経が豊富な筋肉を使っているので、細かい操作がしやすく、触っている感覚を感じ取りやすいメリットがあります。

一方の右側は、外来筋を使っており、強い力を発揮するときには向いていますが、相手を触るときには適していません。

どの速度で動かすといいか?

手の動かし方も科学的に検証されています。

最もヒトが心地よく感じるのは

秒速5cmの速さで動かしたときです。

また、振動の速さとしては、0.8秒間隔の振動が心地良いとされています。

参考:山口創. 皮膚感覚の不思議.講談社

マッサージなどで摩る時などは、このスピードで動かすのが最も相手に快の感情を与えることができます。

1000分の1ミリを感じる皮膚

私たちの触覚は1000分の1ミリの動きや幅を判別することができます。

これは、皮膚の表面の細胞一つ一つがセンサーの役目をしており、圧や振動に対して反応することで、神経を刺激しているためです。

温度についても、様々な温度に対応する細胞内のタンパク質が存在しており、少しの違いも判別できるような仕組みが備わっています。

このように皮膚は脳と同じくらい、敏感なセンサーの仕組みが存在するため、手の狀態を敏感にしておくことで、身体の状態を知ることができるのです。

センサーを働かせるために必要なこと

手の感覚を敏感にしておくためには、幼少期からさまざまなものに触れあっておく経験が必要です。

また、多様な触れ合いを経験しておくと情緒も安定することが知られています。

また、普段から触り方や手の使い方を考えておくと、手のセンサーが働きやすくなります。

漠然と10年間触っている人と、毎日手の感触から何かを探ろうとしている人では、積みあげられる感覚の総量が変わってきます。

人に接する職業であれば、普段から意識して手の感覚を磨きましょう。

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