投球動作はいろいろな見方があるので面白いのですが、アスリートの言葉から考えるのは非常に勉強になります。
トミージョンする前から三頭筋内側頭がよく張るようになったんだけど、前鋸筋、広背筋がかたすぎるのと菱形筋、僧帽筋下部の弱さが顕著なため肩甲骨がうまく動かず、広背筋が伸びづらいため三頭筋に過剰な負荷がかかっていると推測。改善したい。
あと胸鎖乳突筋、大胸筋鎖骨頭も張りやすい
2020.1.17 ダルビッシュ有(Yu Darvish). Twitter より
投球動作をどのように視るか?
下の二つの投げ方を比較してみて下さい。
投球動作を大きく2つに分けると
- 肩関節の内旋 + 肩関節の水平内転
- 肘関節の伸展 + 肩関節の水平内転
投球動作が高速で動いている場合には、見分けがつきにくいですがスロー画像などで分析するとわかるようになります。
動かし方によって使う筋肉が異なります。
肩関節の水平外転:大胸筋
肩関節の内旋:広背筋、大胸筋、肩甲骨下筋、大円筋
肘関節の伸展:上腕三頭筋
動作によって使う筋肉が違いますので、逆に考えてみると
張っている筋肉が分かれば、動作を推測することができます。
・上腕三頭筋の張り → フォロースルー(加速期)の過使用
・前鋸筋の硬さ → フォロースルーでの肩甲骨の外転
・広背筋の硬さ → フォロースルーでの肩関節の伸展
・僧帽筋と菱形筋の弱さ → コッキング時の肩甲骨内転の不足
・大胸筋と胸鎖乳突筋の張り→ 加速期での肩関節の水平外転過使用
なぜ、症状が出るのか?
仮説:肩関節の内旋が使えない??
動作から考えると肩関節の水平外転と肘関節および肩関節の伸展を強めて、上肢を加速させて筋肉の張りが生じていると考えられます。
原因は肘の靭帯への負担を軽減するために、肩の内旋を避けていることが挙げられます。
肩関節の内旋の動きは、靭帯にストレスがかかりやすい動きです。さらにコッキングの段階で肩関節が過剰に外旋方向に動くと負担は増加します。
広背筋が伸びづらいため三頭筋に過剰な負荷がかかっていると推測。
2020.1.17 ダルビッシュ有(Yu Darvish). Twitter より
広背筋を伸ばすには、肩関節を水平外転位にして、外旋を強める必要があります。しかし、外旋を強めてしまうと肘の靭帯にストレスがかかるので、無意識に制限がかかります。
肩関節の内旋が使えないので、代償的に肘の伸展を強めた結果、上腕三頭筋に負担がかかるというメカニズムです。
この代償動作は無意識で行われ、意識して筋肉を動かすルートとは異なるので修正が難しい場合も多いです。
この症状をどうするか?
前鋸筋、広背筋がかたすぎるのと菱形筋、僧帽筋下部の弱さが顕著なため肩甲骨がうまく動かず・・
同上
本人の中で、すでに答えは出ていると思います。
肩関節の外旋で動きを作れないので、他の方法として
- 肩甲骨の内転(肩甲骨を寄せる動き)の動きを出す。
- 胸椎の伸展の動きを作る。
肩甲骨の動かし方や胸椎の伸展の作り方は、いろんな方法があるので考えてみましょう。
解釈の仕方は様々ですので、症状に対して仮説を立て、それにアプローチして効果の有無を積み重ねていくことが大切です。
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