高校2年生で膝の靭帯が切れても諦めるな!

サッカーやバスケットボール、バレーボールなど多くの競技において膝の靭帯損傷は選手生活を考えなければいけない重大な問題です。

特に、膝の前十字靭帯(ACL)の損傷は一般的に再建術といって、膝の別のところの腱を移植して手術が行われます。恐らく、ほとんどの病院でMRIで確定診断がなされた場合、手術を勧められることが多いと思います。

ACLは必ずMRIで確認が必要

前十字靭帯の再建術は、競技復帰までに9ヶ月〜1年程度かかることが普通です。無理をして半年以内で復帰するケースもありますが、一種のギャンブルです。

そのため、高校2年生の段階で靭帯損傷が発覚した場合には、手術をするか、競技を諦めるか選択しなければいけないケースが出てきます。

しかしながら、今回ここで強調しておきたいのが

手術をしなくても2年間は戦える

という事実です。

Thoma LM, Grindem H, Logerstedt D, et al. Coper Classification Early After Anterior Cruciate Ligament Rupture Changes With Progressive Neuromuscular and Strength Training and Is Associated With 2-Year Success: The Delaware-Oslo ACL Cohort Study. Am J Sports Med. 2019;47(4):807–814.

前十字靭帯の損傷は再建術をしなくても、リハビリによって競技を継続できることが分かってきています。

手術をせずプレーできるCopersという存在

前十字靭帯が損傷しても膝に不安定性がなく以前と同様のレベルでプレーできる人のことを Copers と呼びます。

一方で、靭帯が切れた後に不安定性が残り続ける人をNon-copersと呼んでおり、copers – non copersの研究は盛んに行われております。

Copersの条件

Screening test Coper classification threshold*
Timed 6 meter hop ≥ 80%
Knee Outcome Survey – Activities of Daily Living Score ≥ 80%
Global Rating Score ≥ 60%
Number of giveway episodes ≤1

① 片足6mホップテスト

片足で6mをできるだけ速くジャンプした時間を計測します。損傷側が健常な側の80%以上なら合格です。

②Knee Outcome Survey – Activities of Daily Living Score

痛みやこわばりなどを評価する指標で、日常生活やスポーツ活動での膝の状態を評価します。これも左右を比較して、損傷側が健常な側の80%以上なら合格です。

日本語版 サイト

https://pdfs.semanticscholar.org/d583/6c6eb3f5f93f93543fc2e88a521aa514c969.pdf

③ Global rating scale : 世界的な評価指標ですが、日本語版がないので、今回はとりあえず無視してもOK。

④ Numbar of giveaway episode: 膝が崩れた経験の有無(膝が外れたような感じ)

Copersかどうかはこの4つの指標でみますが、簡単に言うと

膝が外れる感じがなく、痛みやこわばりがなくて、ある程度ジャンプや着地ができれば、プレーしてもOKという感じです。

Copersの基準を満たしてなくても大丈夫

リハビリを受けた場合には、早期損傷後にnon-copersと分類された人々の70%が1年後にcopersになったと報告されています。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6546284/#R20

靭帯損傷の直後に基準を満たさなくても、介入によって変更可能であることが示されています。つまり、しっかりリハビリすればプレーの可能性が拡がるということです。

リハビリの内容については、神経筋協調トレーニング(例、バランスディスクでの姿勢保持やジャンプ、スクワットなど)と呼ばれるものを5週間やることによって効果があると考えられています。

詳細は、医師や理学療法士などの専門家に聞いてみましょう。

経験者は語る

個人的な経験談です。

高校2年生の選手権予選前に、サッカーのセットプレーの練習中に右膝を捻って受傷しました。3週間ほど膝が腫れて、まともに歩けませんでしたが、痛みと腫れが落ちつくとそれなりに動けるようになります。

病院を受診して、MRIを撮影したところ、前十字靭帯損傷の診断。当時は手術にて全治1年の宣告です。

高校3年の夏のインターハイ予選で引退を決めていたので、手術をしないで続けることを決意。その後、病院には行っていません。

その後の半年は、2回ほど膝崩れが起き、2−3週間プレーできませんでしたが、アイシングとサポーターで誤魔化しながら、それなりにプレーできています。

そして、最後のインターハイ予選までプレーできました。

靭帯が無くても引退までプレーできると信じています。

長期的には手術をしておいた方が良い

あくまで、経験談と根拠をベースに手術か引退かで迷っている人の支えになればと思って書いております。

手術をしなくても何とかなることをお伝えしましたが、長期的に見た場合には再建術をしておいた方が良いと思います。

再建術は長期的には必要

前十字靭帯が無いと、膝が時々外れたような症状が現れます。これは若い時期の筋力がある時はいいのですが、運動をしなくなった中年以降に症状が出やすくなります。

膝のズレが続くと、膝の中にある半月板や軟骨がダメージを受けるので、長期的には膝が変形していくことが分かっています。社会人になって忙しくなると手術のタイミングを逃して、膝が変形している方を何度か目撃しました。

手術ができるのであれば、引退後や大学入学後などでもいいので再建術をしておいた方が良いでしょう。

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