20代でやっておきたいこと

今回は、以前卒後教育で使った講演資料からの抜粋です。

結論から言うと・・

20代の行動量で、人生のベクトルが決定すると思っています。

年間1万人以上の理学療法士が誕生する時代になっておりますが、

ほとんどの理学療法士が病院での就労で人生を終わる時代ではなくなりました。

理学療法士協会でも、職域の拡大やら国際化を進めている現状ですが、既存の枠には定員がいっぱいになっているという問題が根本的にあります。

診療報酬上の問題で、誰が理学療法を行っても同一収入の仕組みですので、給料の安い若手を雇い、マネジメントができる管理職を置いて、中間層は給料据え置きで雇うというのが経営上の安全策です。

理学療法士の実態

約12万人程度の理学療法士が協会に登録され、医療・介護・企業の現場で働く理学療法士が全体の70-80%の割合で、大学・研究職はおよそ2%と報告されています(日本理学療法士協会 統計情報)

学会での参加者は全国で最も多いもので約5000人程度、各ブロックの学会では1000人程度、県の学会では200〜300人程度の規模が多いかと思います。

ざっくりした計算でも学会等に参加する人は10%程度で、発表を行っているものは5%程度でしょうか。

また、その他の活動(地域貢献、トレーナー活動等)を行っている人も、全体の10%程度だと思います。

研究ができるということ・・

大学院に通ったり、研究活動を経験したことがある人にはわかると思いますが、研究を通じて獲得できる能力(必要とされる能力)は普遍的です。

大学院で博士号ととりますが、博士の本質は・・

売れるラーメン屋を明日から始めろと言われたら、すぐに始められる人です 

つまり、博士とは 「ゼロから問題を設定して、その解決策を見出し、実践できる人」ということです。

落合陽一
(0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書)

大学院に行ってから、何かを教わろうと受け身で待っている人が結構な割合で存在します。論文を周りに手伝ってもらって完成させ博士号を取るような方もいるのですが、その後に独り立ちして研究を続けて行くのは容易ではありません。

むしろ、普遍的なスキルなのが、問題を発見して、仮説を立て、解決策を見出して行くという一連の流れを考える習慣が身につくことにあります。

これが、研究をする上で身につけたい本質です。

根拠のある治療やトレーニングの必要性が求められますが、研究的な思考があれば取り組むことが可能です。

良かった・悪かった点を数値で表し、再現性の高い方法で改善して行くことが求められるので、2つのことが必要です。

❶客観的に示せる(信頼性・妥当性)

❷ 多くの人に効果がある(社会的影響)

研究者の陥るワナ

研究職が大変なのは、常に研究資金がない限り働けないことです。研究を行う上で大切なのが、社会または人類への貢献です。

自分の興味・関心で研究を行う人は多いのですが、その研究によってどういった形で社会に還元されるのかを考える必要が出てきます。

また、研究者の関心先は業績が残せるか(論文に雑誌に載るかどうか)、専門家の間で認められるかどうか が優先されています。

一般の人に、理解されるかどうかは二の次です。

また、その研究がどれだけ社会に貢献しているのかというのは不明な研究が沢山あるのです。

地域貢献と研究活動

直接、人の役に立っているかを感じるためには、何かしらの形で地域貢献の活動をするのが早いです。ボランティア活動でも、トレーナー活動でも、地域の健康事業の手伝いでも、病院の外に出て活動する経験は貴重です。

必要とされる人材になるために大切なのは、信頼と希少性です。

信頼を得るために必要なのは

相手の期待値+α です。

 全ての仕事は対価で成り立っていますが、対価以上のものを提供した時に独自の価値が生まれます。40分のリハビリを受けるために必要なのは、誰でも同じですが、あなたしかできない治療をして、相手の期待値を上回ることができれば、信頼が生まれます。

ボランティアや地域貢献はほとんど金銭的収入は得られませんが、労働の対価として信頼を得やすい構造になっています。得た信頼をどのように活かすかは個人の力量です。

貯まった信頼は、お金に変えることもできますが、信頼を担保にして、多くの社会貢献につなげることも可能です。

地域貢献を通じて、学べることは沢山あると思います。

希少性については、これは多くの書籍で言及されているのですが、100人に1人くらいしかできない能力を3つほど掛け算して100万人に1人の人材になろうというコンセプトがあります(教育改革実践家 藤原和博)。

理学療法士として、簡単にできることが研究活動と地域貢献だと思います。

この二つの活動は、普段の臨床とは対極に位置する活動なので、思考の幅が広がります。

説明したように、研究活動を3年以上継続している人はおそらく全体の数%で、地域貢献を3年以上行っている人も数%程度です。

病院の中で活動しているだけでは、ほとんど差がつきません。また、セミナーや講習会で学んでいる知識は、他人の受け売りの知識なので、差がつきません。

自分で考えて、自分の届く範囲の経験の蓄積に価値があります。→自分にしか語れない言葉を持つ

自分にしかできない経験を積む

自分がどういった環境で働き、どういったニーズがあって、そのニーズに対して、自分が持っている能力と身につく能力が何であるかを考える必要があります。

書物を読んだり、海外に出かけたり、分野の違う人にあったりすることによって、人としての幅が広がります。

病院の枠から一歩踏み出して、視点の異なる活動することが大切です。

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