筋肉を作るもととなるタンパク質ですが、単純にプロテインを摂取していれば筋肉がつくものではありません。
簡単な仕組みを理解して、適切なタイミングで適切な量のタンパク質を摂取することが大切です。
タンパク質はエネルギー源の一つ
タンパク質は、身体を作るもととなりますが、エネルギーとしても使われます。
ここで大切なのが、十分な炭水化物摂取が無いとタンパク質がエネルギーとして使われてしまうために、筋肉が作れないということです。
激しい運動によって、エネルギーを消費することに加えて、筋肉が損傷します。この回復の過程で、筋肉がつくことになりますが、エネルギーがそもそも足りない状態では、
筋肉が損傷しやすく、筋肉に必要な栄養も足りていないことになります。
実際の研究でも、筋肉の中のグリコーゲンが無い状態では、筋肉の損傷(タンパク質の分解)が促進されてしまうことが分かっています。
グリコーゲンを貯めるには、炭水化物の摂取が欠かせません。
そのため、炭水化物の摂取はアスリートにとって非常に重要です。
タンパク質の仕組みを理解する
タンパク質は、食べるとお腹の中で分解されてアミノ酸になります。
そのため、アミノ酸の飲料やパウダーも基本的には同様の効果があります。
サッカーやバスケット、カヌーなどの長時間運動を継続するスポーツとボディビルのような筋肉を肥大させる競技では若干タンパク質の摂取量が異なります。今回は、長時間のスポーツを対象とした摂取量を紹介します。
米国スポーツ医学会(ACSM)は1.2〜2.0 g / kg /日 の範囲のアスリートにタンパク質摂取を推奨しており、国際スポーツ栄養学会(ISSN)は1.4〜2.0 g / kg /日を推奨しています。
個々のニーズに基づいて摂取量は調節される必要があり、筋力とパワー系のアスリートではより高い範囲で消費し、持久力のアスリートでは低い範囲で消費することを勧めています。
タンパク質の摂取量とタイミング
タンパク質の量は、個人の体重によって決まってきます。
おおよその量を把握して、食事やプロテインの量を調整する必要があります。
最も重要な点は
①運動後30分以内の摂取
だと言われています。
その次に、近年分かっているのが、
②運動30分〜1時間前および運動中
の摂取です。
運動後は、筋肉を作るため(タンパク質合成)に重要で、運動前や運動中の摂取は、筋肉の損傷(タンパク質の分解)予防に効果があると考えられます。
タンパク質は何をとるべきか?
近年、必須アミノ酸とロイシンの含有量が高いタンパク質(700〜3000 mg)が、筋肉タンパク質合成を刺激する理想的な供給源であることが明らかになっています。
必須アミノ酸(BCAA)は、血液脳関門を通過する輸送に関してトリプトファンと競合し、トリプトファンの増加はセロトニンを増加させ、疲労感に寄与する可能性があると考えられています。
完全なタンパク質と一緒に摂取されない場合(すなわち、適切なアミノ酸含有量)、BCAAサプリメントのみではタンパク質合成を適切に刺激しない可能性があります。
BCAAだけではなく、アミノ酸(BCAAを含む)のタンパク質源について教育することを推奨されています。
Vitale, K., & Getzin, A. (2019). Nutrition and Supplement Update for the Endurance Athlete: Review and Recommendations. Nutrients, 11(6), 1289.
科学的見地から、乳製品ベースのタンパク質(ホエイ、カゼイン、全乳)、赤身の肉、卵、大豆はすべてタンパク質の合成を効果的に刺激します。 しかし、特に乳製品ベースのタンパク質は、ロイシン含有量が高く、液体ベースの乳製品に見られる必須アミノ酸の消化/吸収速度が改善されているため、他のソースよりも優れている可能性があります。
プロテインにも多くの種類がありますが、ホエイのプロテインは運動直後に効果的であり、ガゼインやソイは消化吸収にやや時間がかかるので、就寝前に適しているとの報告があります。乳糖不耐性などの、食べ物への耐性も考慮して種類を選ぶのが良いです。
運動前や運動中は、食物での摂取が困難ですので、飲料やゼリー系の食べ物で補うと良いでしょう。
一般的に、プロテイン(タンパク質)の食品や飲料は、スポーツドリンクや栄養補助食品などと比較して値段がかかります。
値段が高い原因は、技術革新が詰まった商品なので、成分を抽出するのが難しいものほど値段が高い傾向にあります。
また、海外のプロテインはドーピング検査に引っかかるものも多いので十分な注意が必要です。
過剰に取りすぎるタンパク質の害
アスリートは、「多いほど良い」と考え、推奨量を超えてタンパク質を増やす可能性があります。
推奨レベルを超えるタンパク質の毎日の摂取量(1.2–2.0 g / kg / 日および/または0.3g / kgを超える1回の食事/投与量)は、追加のメリットはありません。
特に、2.0 g / kg /日を超える一時的な増加は、アスリートの通常のプログラムを超える短期間の強化トレーニング中に有益である可能性がありますが、これを超えるルーチンの毎日の総タンパク質摂取量は、持久力のあるアスリートにはメリットがありません。
実際には、過剰な摂取が副作用に繋がっていると示した研究はほとんどないのですが、生理学的なメカニズムから考えて、リスクがあることは認識しておく必要があります。
スポーツ栄養学の最先端
スポーツ栄養学の中でも、必須アミノ酸は20種類あるので、その一つ一つがどの程度どんな能力に効果的なのかが検証されています。また、遺伝的な情報も含めて、各種のアミノ酸が人種や個人に対して、どういったものが効果的なのかも研究されつつあります。
食べ物の組み合わせは多様なので、研究の成果と個人の特性を組み合わせて最適なバランスを自ら探すことが大切です。
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